とある人 その1
ほっそりとした体つきの彼女が、館の戸口にスーッと現れたあの最初の日以来、そのイメージは一貫してミステリアスです。
いつも少し疲れているようにみえるのは、何故だろう。
物静かで神経質そうな印象の彼女が、嬉々として仮装パーティに出たりすることが私には今一つ、解せなかった。
物憂げな態度は人間嫌いを想像させるが、時折こぼれる笑みは、どうやら作り笑いでもなさそうです。
素足にペタンコ靴を履き、大きなセーターに・シーンズといういでたちで一人で車を四時間運転して田舎の家へ出かけていくその彼女が、レセプションの場ではちゃんとファソデーショソを塗り、髪をセットして背筋を伸ばしています。
そんな時のドレスは決まってサンローランでした。